「めぐろ診断士会」は、NPO法人 目黒中小企業診断士会の略称です。

活動紹介

NPO法人目黒中小企業診断士会にて「下期研修会」を開催しました

NPO法人目黒中小企業診断士会では、令和7年3月29日(土)に目黒区の田道住区センターにて下期研修会を開催しました。
今回は、「運送企業支援の最前線 ~2024年問題を機として~」をテーマに、物流分野に造詣が深い当会会員の中小企業診断士・梅澤尚稔先生にご登壇いただき、24名(会場参加11名、オンライン参加13名)が参加しました。
梅澤先生は中小企業診断士として独立される前、運送会社の社長を5年間務めたご経験があり、ご自身の現場体験を踏まえた説得力ある講演となりました。

物流業界は今、いわゆる「2024年問題」を契機として、大きな構造変化の只中にあります。かねてより、長時間労働や慢性的なドライバー不足、低い生産性といった問題を抱えてきたこの業界は、労働時間規制の強化をきっかけに、従来の運営モデルの見直しを迫られています。
中でも中小の運送事業者では、業界の特徴である「多重下請け構造」の影響を受け、長時間労働・低賃金といった厳しい労働環境が常態化しています。

講演ではまず、労働集約型ビジネスである運送業界の特徴や2024年問題の概要、そして今後の法改正について、統計データなどを交えて丁寧に解説いただきました。
続いて、梅澤先生の実務経験に基づき、支援の現場で診断士が果たすべき役割や、支援の際に重視すべきポイントについて解説がありました。
具体的には、「荷主との価格交渉」、「労務管理や職場環境の見直し」、「生産性向上による人手不足対応」などの課題に対して、事例を交えながら知見を共有いただきました。
これらの中、「仕事に誇りを持ちながらも、統制や干渉を嫌うドライバーが少なくない」という前提に立った支援のあり方は、現場経験豊富な梅澤先生ならではの視点であり、示唆に富むお話でした。

研講演後の質疑応答では、業界特有の繁忙期・閑散期への対応や、今後解禁される外国人労働者の活用など、支援の現場で直面する具体的な課題について活発な意見交換が行われ、参加者の関心の高さがうかがわれました。

今回の研修会では、2024年問題が単なる規制強化にとどまらず、業界の変革を促すものであること、そして中小企業診断士の支援がその中で重要な役割を果たすことが、改めて認識されました。
また、物流が社会にとって欠かせないインフラであるにもかかわらず、業界の社会的地位は依然として低いという実態を踏まえ、「現状を変えたい」という梅澤先生の熱い想いが随所に感じられました。
このようなメッセージは、参加者一人ひとりが自らの支援の意義を見つめ直す良いきっかけになったことと思います。

上期研修会

(津田 修治)

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